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  • 執筆者の写真S.Ninomiya

光と影で生じる空間


前回のBLOGで「設計という行為は何もない空間を切り取って、そこに機能だけではなく光や影の生じる場を作り出す行為だと思っています」と書きましたが、今回はその光と影の話。

建築の専門用語で、窓やドアなどの事を「開口部」と言います。光を取り入れたり風を通したり、或いは人が出入りする為に開口部を設けるのですが、建築の計画を考える時に、この開口部を如何に設けるかというのは、光や風を取り入れるという機能面だけではなく空間の質を左右するという視点においても実に重要な問題となります。

床や壁や天井が開口部から入った光に照らされる事で、そこに床や壁や天井があると分かります。しかし、光が当たっているだけでは平坦な形状としてしか認識されません。光が当たり影が生じる事で、床や壁や天井の立体感が生じて空間を出現させます。


ローマのパンテオンの開口部はドーム型の天井の頭長部に開けられた開口部一つだけ。もしもっと多くの開口部が設けられていたら、このように神秘的な空間とはなっていないだろう。

また、一口に光と影といっても、最も明るい光の部分と、最も暗い影の部分の間には無限のグラデーションを持つその中間の部分があります。実はこのグラデーションの部分こそが大事で、このグラデーションが空間の質を決定させているのです。


光と影の中間に生じるグラデーションが美しいアンテロープ・キャニオン(米国)の内部空間。(ウィキペディアより)

そう考えると、この光と影を如何に生じさせるかという事が、実に重要な問題となるわけです。

この光と影の問題は、太陽光による自然光の場合も、照明器具を使った人工照明の場合も考え方は基本的に一緒です。

いつもこの光と影、そしてその中間のグラデーションが如何に生じるか。。。そんな事を考えながら設計しているのですが、まだまだ学ばなければならない事が沢山ありそうです。

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