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  • 執筆者の写真S.Ninomiya

新国立競技場と東京と地方


新国立競技場の技術提案書が公開されたと各新聞社をはじめとしたメディアが報じていますね。

公開されたのは建築家・伊東豊雄氏のグループと、建築家・隈研吾氏のグループの2案。年内には選定を行うとの事です。


取り壊される前の国立競技場(グーグルマップより転載)

くしくも伊東豊雄氏と隈研吾氏は東大卒。2人とも名実共に現代日本を代表する建築家として間違いはないので、この2人が選考に残っている事に異論はありません。

ただ、今回の件は東京VS地方、東大VSそれ以外の学閥という図式が潜んでいたのではないか?という問題定義の裏付けを図らずも浮き彫りにしたように思いました。

元々の案は皆さんご存知のようにイラク出身(現在は英国国籍)のザハ・ハディド氏の案で決定していました。そのザハ字氏の案を選んだのは自称高卒で大阪出身の安藤忠雄氏。

つまり、ここまでの過程で、開催地である東京出身、あるいは東京由来、また、その最高学府である東京大学は全く関わっていない。

ところが、景観問題を前面に押し出しザハ氏の案に問題定義したのが建築家・槇文彦氏。槇文彦氏は東京出身で東京大学卒業(慶応大学中退→東京大学→ハーバード大学)。日本の建築家業界のメインストリートを突っ走っている王道中の王道を行く建築家。

この槇氏の問題定義を援護射撃するように、メディアがコスト問題を根拠とした問題定義を喚起し、不透明な選考過程も相まってザハ案は白紙撤回、現在に至るという経緯があります。

そして、新国立競技場に関して疎外されていた東京組がその目論見を果たした…という見方を生じさせているわけです。

確かに、東京オリンピックは東京で開催される東京のイベントです。だから、東京の建築家達が、それに関係す主導権を持ちたい気持ちは良くわかります。でも、実質的には国民総出の国家的なイベント。決して東京だけのイベントではありません。

でもまあ、前述のように伊東豊雄氏も隈研吾氏も日本を代表する世界的な建築家です。どちらの案が選ばれても、きっと素晴らしい建築になる事でしょう。なので、選定後に遺恨を残すような選定過程にならない事を祈るばかりです。

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