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  • 執筆者の写真S.Ninomiya

ハリボテ建築〇と✖


先日、知人の建築家と話をしていたらハリボテ建築の話になった。ハリボテ建築とは、実際の構造とは関係ない仕上げや形状を内外で採用している建築の事で、建築家業界では良い意味では使われていない言葉。

例えば、郊外型の回転ずしチェーンの店舗デザインで、建物そのものは鉄骨造なのだけど、内部のインテリアは木をふんだんに使って和風=和風建築のような建築。それがハリボテ建築だと思って頂くと分かり易いかもしれません。

しかし、ほんとにそれは良くないのか?というのが今回のお話。

逆に、ハリボテではない建築とはどのようなものか?例えば、内外打ち放し仕上げで、構造体が内外の仕上げを兼ねている安藤忠雄さんがが設計したような建築はハリボテ建築ではないのかもしれない。でも、躯体が内外の仕上げを兼ねるという事は、そこには断熱材が存在する余地が無いので、当然「夏は暑く、冬は寒い」し結露もする。

木造だと、ログハウスなどが躯体と仕上げを兼ねた建築となり得るが、防火性能の問題などで都市部では難しいし、構造的な制約も大きい。木は時間をかけて収縮するので隙間風の問題もある。

鉄骨がむき出しのような建築もハリボテ建築ではないかもしれないが、やはり都市部では防火上の問題で不可。準防火地域や防火地域などでは、火災時に鉄骨が熱の影響を受けにくいように耐火被覆する事が義務付けられているからだ。

。。。となると、現代建築では必然的にハリボテ建築に成らざるを得ない。街中に溢れるオフィスビルや商業ビルなどは、入れ替わるテナントに合わせてインテリアを変える必要があるので、当然躯体と仕上げは別物となりハリボテ建築となる。

木造の住宅などでも、木造の構造体部分に、内外それぞれ違う仕上げ材を取り付けて仕上げとし、その中に断熱材を施工するのが一般的。当然ハリボテ建築となる。真壁による古典的な和風建築の場合はハリボテ建築とは言えないけれど、断熱材が入っていないので現代のニーズには不向き。


夙川の家」の現場風景。むき出しになっている構造体に断熱材を施工し、石膏ボードで蓋をしてクロス等で仕上げる。この写真は断熱材を施工する前の状態。

つまり、現代ではハリボテ建築は避けて通れない。「ハリボテでない建築」は、結局のところ建築家の願望であり妄想でしかない。

ただし、「ハリボテ」を仕上げではなく形態として捉えた場合は話は別。例えば、外観の屋根はフラットなのに、内部に入るとドームになってる。。。なんていうのはいかにもハリボテ。内部がドームなら外部もドームにしたい。

「ハリボテでない建築」が建築家の願望であり妄想であったとしても、この部分だけは拘りたいと思う。

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