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  • 執筆者の写真S.Ninomiya

パリ旅行記 その11/オペラ座


「パリ旅行記 その11」はオペラ座です。

オペラ座(ガルニエ宮)


オペラ座と書いていますが、パリには1989年にオペラ・バスティーユ(Opéra Bastille)という新しいオペラ座ができたので、現在正式には設計した建築家 シャルル・ガルニエの名前から「ガルニエ宮」と言います。

パリにオペラ座はこれまでに沢山つくられていて、このオペラ座(ガルニエ宮)は13代目。建築家 シャルル・ガルニエによって設計され1874年の竣工、築142年の建築物です。もっと古いように思いますが、案外新しい建築物です。

さてこのオペラ座、一般の見学も可能なのですが(10€)、これだと観客席の見学は出来ないようなので、ちょっと奮発してガイド付きのツアーに申し込んで見学しました。ガイドは英語のみなのが残念ですが、それでも観客席に実際に座れると思うだけでテンションが上がります。


オペラ座前の大階段。昼でも夜でも多くの人が座り込んで寛いでいます。

入り口は正面ではなく西側にある「皇帝のロタンダ」側から。ここでセキュリティーチェックを受け、バウチャーを提示してチェックインし、自分たちのグループがスタートするのを待ちます。

ひとグループ15人くらい。日本人は僕たち3人くらいでした。

ツアー開始の時間となり、いざ出発。まずは大階段の下に移動してガイドさんの説明を聞きます。

大階段


これは大階段が少しだけ見えてきたところですが、この「ちょっと」だけ見えただけでも内部空間の素晴らしさを予感させるのに十分な雰囲気。


そして、大階段!階段にいる人達はただの観光客なのですが、物凄く絵になっていますね。


大階段を前にしてガイドさんの説明。早く登りたいんだけどな~…。


階段踊り場からの見返し。


天井はトップライトになっていました。


大階段を見下ろす。


一通り大階段の見学を終えると、次はいよいよ観客席に…なのですが、前のツアーグループが遅れているために、しばしホワイエで「待ち」状態。

観客席

10分ほど待たされ、待ちに待った劇場内に入ります。

ジャーン!

「・・・・・・・・・・・・」

圧倒的に美しい劇場内は是非↓↓↓の360°全天球画像でご覧ください。


豪華なシャンデリア(このシャンデリアもシャルル・ガルニエによるデザイン)に照らされるシャガールの天井画。シャガールの描くパステル調の水彩画のような絵は、こういうコッテリした装飾的な建築には合わないように思うのですが、実際に目の当たりにすると非常に美しいと思いました。

因みに1896年、このシャンデリアが落下する事故があり、そのエピソードがガストン・ルルーが1910年に書いた小説、「オペラ座の怪人」の着想になっているそうです。


天井のディテール。


客席とバルコニー席。


客席からバルコニー席越しに天井を見上げる。

ガイドさんの説明を聞きながら、僅か5分くらいで退室。本当はもっとゆっくり見学したかったのですが、次のグループが待っているので仕方ありません…。

大休憩室

圧巻の観客席を堪能した後は大休憩室へ。


休憩室といってもご覧の通りの豪華な空間。実はこの午前中にヴェルサイユ宮殿を訪れ「鏡の間」を見学していたのですが、「鏡の間」の数倍も豪華で美しいと思いました。


大休憩室のバルコニーから望むオペラ通り。このオペラ通りを真っすぐ進むと、ルーヴル美術館やパレ・ロワイヤルがあります。

夜景


ライトアップされたオペラ座。


夜になってもオペラ座の大階段はこの賑わい。

実は今回のパリ視察で、サヴォア邸とエッフェル塔と並び最も感動したのがこのオペラ座でした。そして、またパリに来ることがあれば是非訪れたいと思ったのでした。

パリ建築視察旅行を終えて

最初にも書きましたが、このオペラ座が竣工したのは142年前。142年前というと日本は明治4年です。ネオ・バロックと言われる様式のこの建築ですが、ゴシックとかロマネスクとか、この建築が出来る以前から色々ある建築様式との違いはあるのですが、率直な印象として劇的に違うとは思いません。

つまり、平たく言うと「古い、石造りの建築」という印象。


ゴシック建築のノートルダム大聖堂は1250年の竣工。


新古典主義建築のパンテオン(パリ)は1792年の竣工。ここらへんもまだ「古い、石造りの建築」という印象。

つまり、反論を承知で言うと、建築の見た目としては数千年も大きな変化が無いと思うのです。因みにこのオペラ座は当時建築資材として使いだされた「鉄」を使い、それまでになかった大空間を実現しているのですが、現代建築の大空間を見慣れてしまうと、その価値も特徴的な印象としては残りません。

ところが、100年くらい前からのモダニズム(近代建築運動により生まれた建築)でそのフォルムは劇的に変わり、建築設計にコンピューターが導入され積極的に活用され出した10年くらい前から、更に劇的な変化を遂げていると思うのです。


モダニズム建築のサヴォア邸は1931年の竣工。ここらへんで建築のフォルムが劇的に変化します。


ハイテク建築と言われたポンピドゥーセンターの竣工は1977年。ハイテクといっても、設計におけるコンピューターの導入はまだ。


本格的にコンピューターを駆使して設計されたフォンダシオン・ルイ・ヴィトンは2014年の竣工。ここらへんになると、もう完全に10年前の建築とは異質。

現代を「建築」というフィルターを通して俯瞰すると、長い間大きな変化の無かった「建築」が、コンピューターの発明と普及に伴い、僅か10数年で劇的に変化を遂げている過程を目の当たりにする時代だと言えます。

そんな現代は建築家にとってまさしくエキサイティングな時代だと思うのですが、しかしそれは、まだまだ最先端を行く一握りの建築や建築家達の話である事もまた実情です。

でも、あと数年も経てばそういう技術も一般に普及し当たり前になるのかもしれませんね。

さて、これにて11回に分けて連載してきた「パリ旅行記」の建築視察報告も終わりですが、次回「パリ旅行記 その12」は、旅行記おまけのグルメ編を予定しています。

「パリ旅行記 その12」に続く。

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