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  • 執筆者の写真S.Ninomiya

アナログでデジタルな建築


21-21デザインサイトで開催中の「建築家 フランク・ゲーリー展」を観てきました。

フランク・ゲーリーはアメリカの建築家で、世界中で活躍するスター建築家と言われる建築家の一人です。


これまで、僕自身ゲーリーの建築を見る機会は割と多く、神戸の「フィッシュダンス」をはじめ、「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」(スペイン/ビルバオ)、10年くらい前にまだ工事中の「ディズニーコンサートホール」「ゲーリー自邸」「サンタモニカプレース」、そしてゲーリーのスタジオも訪れた事があります(いずれもアメリカ/LA)。

現在のゲーリーのデザインする建築は、曲線を多用したなんとも形容し難いオブジェティックな建築。


ビルバオ・グッゲンハイム美術館(スペイン)

フリーハンドで描いたグニャグニャなラインを建築化しているような、クシャクシャに丸めた紙を建築化しているような、そんな自由奔放なフォルムの建築。一見、そこには合理的なロジックなどなく、ただのカタチ遊びをしているだけのような建築に見えます。


会場入り口に据えられた「ルイ・ヴィトン財団美術館」の巨大な模型

展覧会では、このオブジェティックな建築が、様々なデータや資料に基づいて手作業によるアナログと、コンピューターを使ったデジタルの間を盛んに行き来しながら練りこまれ、ブラッシュアップされながら設計されていく過程が丁寧に説明されていました。


展覧会場内の様子

展覧会を観て初めて知ったのですが、一見、特異な形態をした、とてもコストが高くつきそうなゲーリーの建築は、同程度のヴォリュームの一般的な無個性の建築と比べても、同じコストか、寧ろ安価に造られている…という事でした。

これは、ゲーリーが考案したゲーリー・テクノロジーというシステムを活用し、アイデア・設計・積算・工事が驚くほど無駄を無くしてダイレクトに繋がる事で実現しているとの事でした。


会場内に掲げられたゲーリーのスタジオ風景の写真

またゲーリーは、このゲーリー・テクノロジーにより「もうこれでどんな建築家もダメな建物をつくる言い訳はできなくなった」と言っています。

つまり、これまでのようにコストや工法、工期など様々な理由で自由なデザインが出来ないという「言い訳」が出来なくなった、何故なら、それら全ての問題はゲーリー・テクノロジーによって解決できるから…という事。

実際にはゲーリー・テクノロジーや、BIMという高度なCADソフトやオペレーターを導入する必要があり、誰でも簡単に…とはいかないのですが、建築家の僕としては、なんだか大変な世の中になってきたと思いました。


ゲーリーの刺激的で挑戦的で愛らしいマニフェスト

正直、ゲーリーが自邸でデビューした時、まさかこんな物凄い建築家になるとは全く思っていませんでした。

現在のゲーリーは86歳、そしてゲーリーが自邸でデビューしたのは現在の僕と同じ49歳。まだまだ頑張らなければと思ったのでありました。

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