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  • 執筆者の写真S.Ninomiya

建築写真とスケール感


過日は「吹田の家」の家具が入ったので、二度目の竣工写真の撮影を行いました。


撮影中の「吹田の家」。フォトグラファーは冨田英二さん。リビングの家具は全てアルフレックス ジャパン。 床材はIOCのオークフローリング。

建築が竣工すると殆どの場合竣工写真を撮影します。そして、可能であれば家具や人物の入った状態で撮影させて頂いています。

家具や人物が入った状態で撮影するのは、実際にその建築が使われている様子が想像し易いから…という事もあるのですが、空間の大きさ=スケール感が得やすいという意図からです。

家具や人物が入っていないと、ただ単にだだっ広いだけの空間として写ってしまい、実際の大きさが捉えずらい写真となります。

しかし、椅子やテーブル、ソファなどの実際の大きさが想像し易い家具や人物がそこに写り込んでいると、それを手掛かりに空間の大きさを的確に想像する手助けとなります。

これは内部空間だけでなく、外部空間でも同様です。


「吹田の家」の外観と撮影準備中の冨田英二さん。人物が映り込む事で建物の大きさが把握し易くなる。

写真で見るととても大きく見えるのに、実際に目のあたりにすると物凄く小さかったり、逆に実際の方が大きく感じたりする建築があります。これは、その写真から得られる情報だけではスケール感がつかみ難い事により起こる誤解です。

例えば、建築ではありませんがシンガポールのマーライオンなどがその良い例。

マーライオンを実際に訪れた人達が一様に「思ったより小さい」と残念がるのは今や良く知られた話です。

建築を撮影するときは、空間全体や外観全体を一枚の写真に収めたい為に広角レンズを使います。そうすると、どうしても実際のスケールよりも大きく写ってしまいがちです。

建築家の中には、わざと実際よりも広く見せたり大きく見せたりする方もおられますが、写真を観てその建築に興味を持ち、実際の建築を訪れた時のギャップはまさにマーライオン。決して良い印象にならないと思います。

そんな誤解を生まないように、適切なスケール感で伝わるような竣工写真になるよう心掛けています。

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