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  • 執筆者の写真S.Ninomiya

エコ住宅の誤解


いわゆる「エコ住宅」と言われるもので、もっとも多い誤解がエコ=節約という誤解。つまり、エコ住宅にしたら毎月の光熱費が減って節約になり、家計が楽になるという誤解。


例えば、先日の朝の情報番組を紹介していたOMソーラー。

ウチの事務所でも、お施主さんの要望で以前設計した住宅で採用したので良く知っていますが、OMソーラーとは屋根に蓄熱した熱使って四季を通して快適な住環境をつくるという以前からあるエコなシステム。しかし、それはあくまでも補助的な役割であり、基本的に他の空調機器を使用する必要はあります。

番組では、実際にOMソーラーを導入した住宅に訪れ様々なメリットを紹介しながら、スタジオの司会者やゲストが驚きのリアクションを取るという良くある展開。

中でも一番盛り上がったのが、OMソーラーを導入する事で年間の光熱費が「以前の住まい」に比べ8万円も安くなったという件。スタジオは勿論「これはお得ですね〜!」という大絶賛のリアクション…しかし、これって本当にお得なのでしょうか?

番組の中でも最後の方で軽く触れますが、このOMソーラーの導入にはなんだかんだで300万円ほどかかるそうなのです。300万円もかけて年間8万円しか節約出来ないのです。

計算してみましょう。

300万円➗8万円=37.5年

つまり、OMソーラーを導入するにあたって必要な初期投資を回収するのには37.5年もかかります。

加えて、新築する際はほとんどの方が住宅ローンを利用されると思いますが、その場合は当然利息が必要となるので初期投資は300万円+利息となり、回収するには37.5年以上の月日が必要となります。

また、年間8万円の節約も、比較対象としている前出の「以前の住まい」がどのような住まいだっかにもよります。もし建替えならば「以前の住まい」は断熱材の入っていない極めて断熱性の低い住宅だった事が容易に想像されます。

これを現在の一般的に行われる断熱材を使用して建替えたとすると、それだけで年間の光熱費は安くなるはず。また、空調機器も日進月歩で省エネ化が進んでいますから、果たして「以前の住まい」との比較がどれだけ意味のあるものか皆目検討もつかない状態です。

つまり、月々の光熱費の支払いは安くなりますが、月々の住宅ローンの支払いは高くなるわけです。

しかし、番組は「OMソーラーはお得」という意識付けをしてコーナーを終了するのです。これでは視聴者は勘違いしてしまいます。

また、太陽光パネルによる発電なども良い例です。太陽光パネルを導入すると毎月の電気代が安くなるというもの。しかし、実際には導入コストを上回るほどの発電は得られないので、太陽光パネルはなかなか普及しませんでした。

ところが「売電」という発電した電気を高値で買い取るという制度と、導入に補助金(税金)を出すという国策により、太陽光パネルの普及は一気に加速…したのですが、結果はご存知の通り。

結局、エコ住宅は決してコスト面では「お得」ではありません。むしろ割高。

エコ住宅を導入する人は損得勘定なんて考えてはいけないのです。本気で「環境に優しく」したい人しか導入してはダメなのです。

でも、太陽光パネルのように製造過程でかなりの電力を消費し、エコな状態になる為に「環境破壊」という非エコな過程を経なければならないエコ住宅もあるので、そうなるとエコなのか非エコなのか、サッパリわからなくなります。

エコ住宅って、いったい何なんでしょうね…。


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