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  • 執筆者の写真S.Ninomiya

安藤病再発 その1


この歳になって安藤病が再発しております。安藤病というのは、建築家 安藤忠雄さんの建築作品や生き方に感銘して安藤さんそのものにイカレるという症状で、建築を学び出した学生や、自称建築好きと自負される一般人の方に多く診られる症状。

この世界にドップリと漬かっている人間としては既に全快しているはずの、まあ、建築版「麻疹」みたいなもんです。で、僕も学生時代はこの「麻疹」にかかっていたのですが、現実世界の様々な刺激の強い注射を打たれてすっかり全快していました。

ところが平松剛さん著の「光の教会 安藤忠雄の現場」を読んで再発してしまったのであります。この本の存在は以前から知っていたのですが、「安藤本」の一括りであまり食指が動かず、知人の勧めで「騙されたつもり」で読んでみたわけです。そしたら、小難しい文章が多い建築関連の書籍と違い、小説風の展開でなんとも読みやすく、思わず一気読み。著者の平松サンのファンになったばかりか、例の安藤病が再発。。。なわけです。

例えば、予算の少ない「ハズ」の物件なのに、工事途中に別予算でオルガンを購入する事になった件で、「そんなお金どっから出てきたん(中略)お金印刷してんのちゃうか」と安藤さんが言う辺りは、ホントに言ってそうで(というか言っていると思います)メチャメチャ笑えました。まあ、全編そんな調子の本なのであります。

勿論そんなお笑いネタばかりではなく、安藤さんの建築に対する姿勢を再認識するに辺り、自分自身も初心を思い出して褌を締めなおさなければいけないと戒められたと同時に、奮起させられたわけであります。でですね、この本、勿論どんな立場の方にもお勧めなのですが、実は同業の方よりも建築を学んでいる学生さんや、自称建築好きと自負される一般の方、そしてなによりも、これから建築家に仕事を依頼されようとお考えの方に是非読んで頂きたいのであります。

なぜかというと、建築家の建築に対する思いいれの深さを理解して頂けるというのは当然の事ながら、所謂「現場監理」という過程がいったいどういう事をしているのか、非常に分かりやすく読み取れるからなのであります。建築家の仕事は、とかくそのアイデアや完成した建築そのものへの評価に焦点が絞られてしまいがちですが、実は実際に建築が造られる「現場=過程」こそが主戦場であり、それが「現場監理」という業務なのであります。

でも、この過程は説明もし難く、理解も得がたい。。。。そういう陽のあたらない部分に焦点を当てたという意味で、この本は非常にお勧めなわけです。2日もあれば読めるので是非読んでみて下さい。

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