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執筆者の写真S.Ninomiya

メビウスのこと



ジャン・ジローさんという漫画家をご存知でしょうか?…メビウスというペンネームでも活躍していたフランス人の漫画家です。


ジャン・ジロー/メビウス「ARZACH L’ARPENTEUR 」

ジャン・ジローさんには日本人の漫画家も多く影響を受けていて、その筆頭が「アキラ」の大友克洋やスタジオジブリの宮崎駿。その影響のほどはジャン・ジローの緻密に描き込まれた作風を見ると一目瞭然。

はじめてジャン・ジローさんことメビウスの事を知ったのは、もう30年以上も前。当時愛読していた「スターログ」という雑誌で掲載されていた「バラッド」という作品を読んだのが最初。

日本の漫画のタッチとは明らかに違う、アメコミのタッチとも違う。その独特なタッチに魅了されました。

時を経て、すっかりメビウスの事は忘れていたのですが、たまたま見かけた画像を懐かしく思い、インターネットで調べてみたら、過去の思い出が掘り起こされたのでした。

そして、残念ながら、ジャン・ジローさんは2012年に他界されていました。73歳だったそうです。全く知りませんでした。残念。

さて、メビウスことジャン・ジローさんが日本の漫画家に強い影響を与えていたと述べましたが、実はジャン・ジローさんも日本の漫画家から強く影響を受けています。

それは手塚治虫。

もっとも、ジャン・ジローさんと手塚治虫がそれぞれを認識したのは2人共作風が確立した後だったので、お互いに影響を与えあったというのが正解な表現かもしれません。

それに、前述の大友克人の漫画も初期の頃から購入し、大友の絵の描き方を研究していたそうです。

ジャン・ジローさんの活躍は漫画の世界だけでは有りませんでした。『トロン』(1982年)『アビス』(1989年)『フィフス・エレメント』(1997年)といった様々なSF映画のコンセプトデザインにも関わっていたそうです。

2010年からフランスでは毎年「ジャパン・エキスポ」という日本文化を紹介するイベントが催されていて、年々来場者数を伸ばしています。日本文化....なので漫画やゲームだけではないのですが、漫画がその中核を担っている事は疑いの余地がありません。

そして、ジャン・ジローさんの存在が「ジャパン・エキスポ」の礎になっていることも間違いないでしょう。

大変遅ればせながらなのですが、ジャン・ジローさんのご冥福をお祈りしたいと思います。


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