top of page
  • 執筆者の写真S.Ninomiya

坪単価の正体

更新日:2020年3月27日

これから家を建てようと思われる方がまず最初に疑問に思われるのが、果たして幾らくらいで建つのだろうか?という疑問でしょう。実際、建築相談の際にもっとも良く質問されるのがこの疑問。そして、もっとも回答し難いのがこの疑問でもあります。

なぜ回答し難いかというと、何も決まっていない段階では回答のしようがないから。

詳しく説明すると、そもそも建築コストは足し算で算出されるものです。例えば柱や梁の本数やサイズ、鉄筋の太さや本数、コンクリートの量、床や壁の仕上げの種類や面積、サッシの大きさや数、それらを施工するのに必要な日数と人工数、各種設備のグレードや有無、その他諸々と各種諸経費などを積み重ねた足し算の結果が建築コストという事になります。

要は足し算する要素をアレコレと決めていかないと足し算のしようが無いのですが、それらが全く決まっていない状態で「幾らで建つか?」と質問されても、算出のしようが無い=回答のしようがない…という事になるわけです。

そこが予めプランをはじめ仕上げや設備などが予め選定されているハウスメーカーなどとの大きな違いとも言えます。

でも、回答しないと話が進まないので過去の事例を参考に回答する事になります。この時に使うのが坪単価。過去に建てた家のコストを面積で割り算して坪当たり幾らかかったか?を根拠に、必要とされる面積に掛け算しなおしてコストを割り出すわけです。

しかし、この方法には根本的に無理があります。なぜなら、建築コストは建てる時期や地域で大きく変わるからです。

まず、建材のコストはその時々の時勢に大きく左右されます。輸入建材の多い最近では為替相場や原油相場の影響も強く受けます。それらは時期によって上下します。

次に地域の件。地域の件とはつまり人件費の事です。地域によって人件費には差があります。例えば、東京都内のコンビニの時給と地方のそれの時給とは差があります。建築コストの半分は人件費なので、地域=建てる場所によって差が出るわけです。

また、施工する工務店さんなどが事前に決まっていない事もコストを定めにくくしている大きな要素です。全く同じ設計図を基に見積もりを行っても、工務店さんによって見積もり金額に大きな差がある事も良くあります。

ここらへんも予め下請け先の工務店さんが決まっているハウスメーカーなどとの違いであり、また、工務店主導のプロデュース会社などとの違いでもあります。

こういう不確定要素をふんだんに含んだ数字が「坪単価」なのです。


奈良県北葛城郡で進行中の「上牧の家」の現場風景。

閲覧数:43回

最新記事

すべて表示
bottom of page