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  • 執筆者の写真S.Ninomiya

レプリカントと断捨離


映画「ブレードランナー」の続編の公開が今年の11月に決定し、コンセプトアートが公開されています。


こちらは前作「ブレードランナー」の一場面。(画像は「映画ジャーナル<ビーグル・ムービー>」から引用)

ところで、「ブレードランナー」といえばレプリカント。

レプリカントとは「外見上は本物の人間と全く見分けがつかないが、過去の人生経験が無いために「感情移入」する能力が欠如していた。ところが製造から数年経てば彼らにも感情が芽生え、人間に反旗を翻す事態にまで発展した。」という存在。

レプリカントは製造されてから数年しか生きないようにプログラムされているのですが、本来持ち得ないはずの他人の過去の記憶が移植されています。理由は自分がレプリカントである事に気づいて反乱を起こさない為の予防策なのでしょう。

そして、その証として「過去の写真を集める」という行為に縛られています。きっと、(移植された)記憶はあるけれど、その実体験の無いレプリカントにとって、その実体験を記録として留める写真は「思い出」として重要なのでしょう。

ところで、最近「断捨離(だんしゃり)」という言葉をよく耳にします。意味は「不要な物を減らし、生活に調和をもたらそうとする思想」との事。

ウィキペディアで調べると、昔からあった言葉ではなくやましたひでこさんという方の著書で発表された造語らしいです。

以下、ウィキペディアからの引用

「日本では伝統的に「もったいない」という観念・考え方があるが(これはこれでひとつの考え方・価値観ではあるが)、この考え方が行き過ぎると物を捨てることができなくなり、やがてすでに使わなくなったモノ・将来も使うはずがないモノなどが家・部屋の中に次第に増えてゆき、やがては自分が快適に居るための空間までが圧迫され、狭くなり、また人は膨大なモノを扱うのに日々 膨大な時間や気力を奪われるようになってしまい、知らず知らずのうちに大きな重荷となっていて心身の健康を害するほどになってしまう。」

「断捨離」は「だから不要なモノは捨ててしまいましょう」という方向に誘導する考え方なのですが、前出のレプリカントとその志向は真逆。

人間になる事を願い、その証として写真を集めたがったレプリカントですが、捨てたくない気持ちを抑えて「断捨離」できた時に、きっと本当の人間になれるのかもしれません。

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