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  • 執筆者の写真S.Ninomiya

パリ旅行記 その1/ルーヴル美術館



見どころの多すぎるパリですが、最も見てみたかった一つがルーヴル美術館。建築家の視点としては、所蔵されている美術品目当てというよりもやはりその建築。

ルーブル美術館

ご存知の方も多いと思いますが、ルーヴル美術館はそもそも要塞として建てられた建築が、その後増改築を繰り返し、宮殿となり美術館となった建築です。


ルーヴル美術館正面玄関。

その期間は12世紀からスタートしているので、中国系アメリカ人の建築家イヨ・ミン・ペイ設計によるガラスのピラミッドの完成に至るまで、なんと9世紀もの間増改築を繰り返している建築となります。

美術館になって以降の増改築は、所蔵される美術品の増加や日々訪れる沢山の観光客を円滑に流動させる為に行われてきたわけですが、ガラスのピラミッドの増築を経て、この地での増築は一通りの完結とし、今後はルーブル・ランスのように別館の建設により対応していくようです。(因みに別館となるルーヴル・ランスは日本の建築家ユニットSANNA/妹島和代+西沢立衛)


ピラミッドの内部空間。右手上部の三角形が地上階のメインエントランス。

西洋建築の歴史を振り返ると、古代ギリシャ様式→ギリシャ様式→ビザンチン様式→ロマネスク様式→ゴシック様式→ルネッサンス様式→バロック様式…と推移するわけですが、最初の古代ギリシャ様式が古代エジプト文明の影響を強く受けている事は明白。


ルーヴル美術館三大作品の一つ「サモトラケのニケ」(他の二つは「モナリザ」と「ミロのヴィーナス」)。

古代エジプトの建築と言えばピラミッド。ピラミッドの形態は純粋幾何学の形態そのものであり、人類の英知を具体化した象徴とも言える形態。


ルーブル美術館のもう一つのピラミッド「逆ピラミッド」。こちらはルーヴル美術館前にあるショッピングセンター「ルーブル・ド・カルーゼル」に設置された採光窓。ダン・ブラウン著による「ダヴィンチ・コード」では、この逆ピラミッドの下にマグダラのマリアの遺骸が納められていると結論付けている。

そのピラミッドという形態を、前述のように要塞からスタートしたルーブル美術館が、ガラスとスチール(ステンレス?)という現代の建材と技術により、ルーブル美術館という、これまた芸術という側面からの人類の英知を内包する建築の形態として完結するというストーリーは、建築家として興奮を抑えきれないのでありました。


ルーヴル美術館内にあるカフェ・リシュリュー/アンジェリーナから見たガラスのピラミッド。

「パリ旅行記 その2」に続く。

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