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  • 執筆者の写真S.Ninomiya

「豊島美術館」の事


過日となりますが、瀬戸内にある「豊島美術館(てしまびじゅつかん)」を初めて訪れてきました。写真で見る限り空調機らしきものが見当たらない為、暑い季節や寒い季節を避けて訪れるつもりだったのですが、なぜか訪れたのは夏真っ盛りのお盆前。。。。 さて、ご存知の方も多いと思いますがこの「豊島美術館」、設計は建築家の西沢立衛さん。いわゆる普通の美術館とは違い、壁面に絵画が飾られていたり、広場に彫刻が置かれたりはしていません。内藤礼さんというアーティストの「母型」という作品が1点だけ飾られているだけ。飾られているといっても。。。。興味のある方は是非一度訪れてみてきて下さい。 果たしてこの「豊島美術館」、想像を絶する素晴らしさでありました。地面が隆起したような不整形なドーム型の屋根に、幾つかの楕円形の大きな開口がうたがわれているだけの構成なのですが、そこに広がる世界はなんとも神秘的。騒々しい蝉の鳴き声は遮断され、開口にはガラスも無く開けっ放しで空調も無いのに、そよそよと吹き抜ける風がなんとも涼しい。空間全体は照明もないのに、うたがわれた開口から差し込む光が、広範囲に柔らかく反射して隅々まで行き届いて美しい光のグラデーションを発生させている。光とはこんなにも拡散するものかと思い知らされた。 内部から見えるそとの風景も秀逸で、降り注ぐ光、空、漂う雲やそよぐ木々、そしてその現象が流動する空気としての風を想起させる。人工物でありながら、自然と一部であるかのような感覚。これは、既に建築ではないのかもしれないと錯覚するほど。 そして、なによりも圧巻なのは内藤礼さんの「作品」との共存の仕方。完全にお互いが調和していて、どちらかでも欠けると成立しないのでは無いかと思わせるほど。 こんな素晴らしい建築だとは思わなかった。 ご興味ある方は、是非一度訪れてみて下さい。


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