日本人は何で「三大○○○○」と括るのが好きで、例えば「三大ギタリスト」ならエリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ。「三大プロレスラー」なら力道山、ジャイアント馬場、アントニオ猪木。「三大建築家」ならフラン・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエ、ル・コルビジュエといった具合。
で、ルネサンスの三大巨匠といえば、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ・ブオナーティ、ラファエロ・サンティとなります。
自身を画家ではなく彫刻家と捉えていたミケランジェロ・ブオナーティを含め、三人ともに素晴らしい絵画を残している事に異論はありません。
ありませんが…なんとも言えない違和感を感じていたのも事実で、最近やっとその答えに辿り着いたような気がします。
それは画材。画材の進歩。
三大巨匠が活躍していた頃の画材といえばテンペラ画やフレスコ画が主。色の重ね塗りが難しく写実的な表現には限界があり、ちょっと漫画チックな印象は否めませんでした。
「受胎告知」レオナルド・ダ・ヴィンチ。1400年代。テンペラ。
「聖家族」ミケランジェロ・ブオナーティ。1500年代。テンペラ。
「アテナイの学堂」ラファエロ・サンティ。1500年代。フレスコ。
これがルネサンス期より少し後のバロック期、ミケランジェロ・カラバッジョの時代になると油絵の具が出だして、途端に表現がリアルになり、まるで写真かと見紛うような仕上がりになります。
「メデューサ」ミケランジェロ・カラバッジョ。1500年代後期。油絵具。
「バッカス」ミケランジェロ・カラバッジョ。1500年代後期。油絵具。
そして、近年になると更にその表現はリアルさを増し、シド・ミードのイラストなどをみると金属面の反射や写り込みなど、驚異的な進歩が見て取れます。
(タイトル不明)シド・ミード。1900年代。アクリル絵の具、ボールペン、マーカー他。
話は逸れますが、写実性は写真の台頭とともにその座を奪われ、その事に気付いたピカソなどにより、写実性を追い求めるのではなく写実性とは違う芸術を求めてキュビズムなどが生まれ、現代芸術の多様性に繋がっていきます。
そして、現代の画材といえばコンピューター。フォトショップやイラストレーターや3DCGなどのソフトの発達。
当時、既にあった遠近法の技術をより進歩させ完全なものに近づけた「最後の晩餐」(レオナルド・ダ・ヴィンチ。1500年代。テンペラ)も、現代の3DCGの技術を使えばより完成度の高い遠近法が表現出来るようになりました。
果たして、ルネサンス期の三大巨匠が現代のコンピューターソフトに触れたら、いったいどんな傑作を描くでしょうか…考えただけでもワクワクしてしまいます。
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