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執筆者の写真S.Ninomiya

ニケとダビデの狭間

有名な彫刻といえば沢山あるけれど、その中でも「サモトラケのニケ」と(ミケランジェロの)「ダビデ像」は、知らない人はいないのでは無いだろうか。


「サモトラケのニケ」はスニーカーのナイキ(NIKE)の語源とトレードマークになっていて、元は船の舳先の飾り彫刻であったと考えられている。



ルーブル美術館に収蔵されている「サモトラケのニケ」。


サモトラケ島で発見され、勝利の女神ニケを模っている事が、その名前の由来。女神だけあって翼の生えた女性のカタチをしていて、ファンタジーな印象。


発見されたのは1863年だけど、製作は紀元前4世紀の終わりから紀元前3世紀初頭と推測されるが、諸説あり真意は不明。また作者も不明。


現在、オリジナルはパリのルーブル美術館に所蔵され、世界各地にレプリカが展示されている。


対する(ミケランジェロによる)「ダビデ像」は、フィレンツェのアカデミア美術館に収蔵され、これも世界中にレプリカが展示されている。



アカデミア美術館に収蔵されている「ダビデ像」。


ダビデが巨人ゴリアテとの戦いで、岩石を投げつけようと狙いを定めている姿で、こちらもファンタジーの世界。狙いを定めている割にはリラックスしているように見えるのだけど、それは見る側の問題なのでしょう…。


そして、この「ダビデ像」の製作されたのが1504年。前述の「サモトラケのニケ」の凡そ1700~1800年後。現代の僕たちの視点から見ると、漠然と昔の彫刻…しかも同時代の彫刻と錯覚しがちだけど、実際は1700~1800年というとてつもない時間の差が有るのだ。


そこで思うのは、2000年以上も時を隔てた現代人と比較しても、人間の姿というのは全く変化していないのだな…という事。


「サモトラケのニケ」も「ダビデ像」もファンタジーを題材にはしているけど、その原型は人間。また、それぞれに見栄えの良いようにデフォルメされているだろうけど、それでも人間。


因みに、彫刻は皆筋骨隆々な姿をしているので昔の人は皆そうだったのか?という疑問を美術史家の方に質問してみたところ、やっぱりそんな事はなく、見栄えが良いように筋骨隆々に製作しているとの事だった。

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