以前ローマを訪れた時は、パンテオンやコロッセオなどの歴史的建造物の圧倒的凄みに押し潰されて、ローマの現代建築など全く興味が失せてしまっていたのだけど、今回2回目となるローマ訪問では多少の心のゆとりも芽生え、ザハ・ハディド設計のイタリア国立21世紀美術館を訪れました。
ファサード。実はよく見るファサードの写真は側面で、こちらが正面玄関。割とおとなしめのデザイン。
これが良くこの美術館を紹介する画像などで使われるファサードのアングル。
だいたいの事は書籍で知っていたし、主にその確認作業程度の訪問のつもりだったし、先述の歴史的建造物と比較すると陳腐な印象だろうと予想していたのだけれど、果たしてそれは見事に裏切られ、ザハ・ハディドの力量をあらためて痛感させられる事になったのでありました。
エントランスホール。いきなりザハ節炸裂といった内部空間。うねった階段と渡り廊下が黒い金属の仕上げをまとって舞い狂い、インパクト抜群です。
流線型でメタリック、どれも同じデザインソースと言ってしまえばそれまでなのですが、そこで体験する空間は全く新しい感覚。特に古の街ローマにあってこそ、その斬新な新しさが際立つのだと感じました。
どこをどう行けばどこにたどり着くのか全く分かりません。
階段と渡り廊下の詳細。階段と壁の間に細いスリットを取り、そこに照明を仕込む事で壁と切り離れているかのような錯覚を生じさせ、階段と渡り廊下が自由自在に空間を飛び交う印象を与えています。
流動的なデザインは展示空間でも展開され、観覧者を次から次へと新しい空間に誘う。。。。といっても、導線計画自体は無茶苦茶で、いったい今どこにいるか分かりにくいし迷います。導線など空間体験の強烈さの前ではどうでもい言っているかのようです。
最上階はトップライトで覆われ、吹抜けを介して明るい光が再下階まで降り注いでいます。
館内に展示してあったこの美術館の模型。
中にはカフェもありました。このカフェもザハのデザインなのかは不明。
ザハ自身がローマをどれほど意識していたかは知りませんが(多分意識していない)、新旧の斬新な建築を通して、建築の枠組みだけでなく人類の進歩を如実に実感する訪問となったのであります。
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