S.Ninomiya
「最後のジェダイ」に想う

もうそろそろネタバレしても良い時期だと思うので「スターウオーズ/最後のジェダイ」につて書こうと思います。
率直に言うと、楽しめる映画ではありました。しかし、それは全てが想定外に展開するシナリオに唖然としながら見入ってしまうという類のもの。しかもそれは、古くからのファンには受け入れがたい展開であって、SWシリーズの本筋としては決して受け入れる事の出来ない印象でした。
その展開は、映画の冒頭でいきなり始まります。
前作からのシーンでレイが探し出したルークにライトセーバーを手渡すと、「なんだ、こんなもの」という感じでライトセーバーをポイと投げ捨ててしまうルーク。このシーンは僕にとって物凄くショッキングで、まあ、その後のストーリーを考えると一応筋の通った布石にはなっていたのだけど、完全に想定外の展開。
想定外、且つ納得のいかない展開は他にもあります。
・宇宙空間に投げ出されたレイアがフォースの力で自力で帰還するシーンの違和感。
・旧三部作で失ったはずのルークのライトセーバーをなぜマズ・カナタが保管していたのかの経緯。
・フィンとローズのラブストーリー。
・不甲斐ないキャプテン・ファズマの活躍。
・中国市場を意識し過ぎたフィンの不自然に多い登場シーン。
・ポー・ダメロンによる無意味で間抜けな反乱劇。
・カジノシーンにおける超ご都合主義の展開。
・素性の明かされないまま死亡するスノーク。
・せっかくの個性派俳優ベニチオ・デル・トロの見せ場の無い起用。
・ジェダイの血筋とは全く関係なかったレイの生い立ち。
その他、前作の「フォースの覚醒」でも布石が全く回収されないままエンドロールという、なんとも気持ちの悪い終わり方。
それでも、レイとカイロ・レンのライトセーバーによる殺陣や、重火器による集中攻撃を受けたルークが無事であった事のの謎解き(とはいえ、フォースの力を拡大解釈しすぎている事への違和感は有り)など、多少の見どころはあった。
しかし、それ以上に前作までに提示されていた謎解きの多くが期待外れで回収されないまま放置されスルーされてしまった事に唖然とし、失望してしまった。
製作がディズニー移った時点で危惧していた事が現実となった悪夢。これはもう…SWではない。
前作、「フォースの覚醒」からはじまったディズニー製の新シリーズ、最初こそハン・ソロやレイア、ルークなど懐かしいヒーロー達が蘇った事に悦びを感じ、その事で酷いシナリオにも目をつむる事が出来たけど、今作においてそのひいき目も見事に吹き飛び、絶望しか感じていない。
とはいえ、三部作最後となる次作もきっと(公開初日に映画館で)観ているのだと思うけど、ディズニーにはこれ以上僕のSWを貶めないで欲しいものだ。