過日は「吹田の家」の見積り提出でした。
3社の競争入札で、想定内の工事金額を出してきた工務店さんが2社。嬉しくも悩ましい選択の中、その内の1社に決定。
設計者にとって、減額の為の設計変更をしなくて済むのは何よりも嬉しい。もちろんお施主さんも嬉しい。あれこれと思案しながら描いた図面を変更しなくて良いという事は、思い描いた建築をそのまま造れるという事だし、コスト圧縮の為の設計変更というのはなによりむ空しい。
ここのところ、連続して見積りがスンナリ収まる事が多い。工務店さんの企業努力によるところが大きいのだけど、その企業努力を引き出せる「競争入札」という仕組みが上手く働いているのだと思う。
工務店が決まっているような場合やハウスメーカーなどでは、なかなかこうはいかない。
また、そもそもの予算の設定に無理が無い事や、基本設計段階で行う概算見積りなど、段階をおって予算を把握しながら設計する進め方も功をそうしているのだと思う。
勿論、ウチの事務所でも予算が合わなくて苦労する事もたまにはあるのだけれど、修正不可能なほど致命的な誤差ではなく、殆どは調整可能な範囲の誤差。
実は、予算が合わなくて苦労する話しは山ほど耳に入る。例えば、想定している予算は3000万円なのに、見積もったら6000万円だった…という話。
よくよく聞くと、最初から無理な予算の設定に無理が多い事が多い。仕事欲しさに安請け合いして、後で困った事になる典型だ。でも、それをやるとお施主さんにもご迷惑がかかるし、なによりも自分たちの信用を失う。
でも、コストについてはかなり設計を進めないと分からないのも事実だし、依頼を他社と天秤にかけられている状態では、希望的観測でついつい調子の良い事を言ってしまう気持ちも良く分かる。実に悩ましい問題なのだ。