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執筆者の写真S.Ninomiya

SONY再考


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SONYの凋落が止まらない。PC事業のVAIOからの撤退と売却、電子書籍リーダー事業からの撤退、中国のスマホ事業からの撤退、撤退撤退撤退。。。。低迷していたのはSONYだけではない。景気の低迷にリンクして、日本の家電メーカーは全て低迷していた。しかし、アベノミクスで景気が持ち直すに連れ、家電メーカーもなんとか持ち直しつつある。でも、SONYだけは別。全く持ち直す気配が無い。聞こえてくるのは撤退のニュースばかりだ。悲しい。 僕ら世代にとって、SONYはカリスマだった。

よく言われる事だが、以前のSONYにはイノベートする精神があった。「ウォークマン」は真に「発明」だった。それまで部屋の中で聞くものだった音楽を、街に持ち出せるようにしてくれたのは「ウォークマン」だった。 音楽を街に持ち出した時の感動は今でも忘れない。驚くほど街が違って見えた。まるで映画のを観ているようだった。街のノイズは遮断され、ヘッドフォンから聞こえる音楽しか聞こえない。その結果、見慣れた風景が映像のように見えたのだ。それは強烈に劇的な空間体験だった。今でこそ音楽を街に持ち出せるのは当たり前になってしまったけれど、これを最初に実現したのはSONYの「ウォークマン」だった。 そして、そのイノベートする精神を更に増幅させて魅力的にしたのがするデザイン力だった。僕が初めて手にしたSONYは「ウォークマン2」。「ウォークマン2」は銀色のボディーに斜めに切り込んだスイッチ類と、オレンジ色のヘッドフォン(当時はイヤーフォンではなかった)というデザインで、一目見て格好良いと思い、そして欲しいと思った。でも、当時中学生の僕には高額。新聞配達のアルバイトやって、やっと「ウォークマン2」を手に入れた。中学校でアルバイトは禁止されていたし、勿論アルバイト経験もなかったけど、それでも「欲しい」と思わせる魅力があった。 それからはずーっとSONY信者だった。多少他者製品よりも性能が悪くても、値段が高くても、デザインが良かったSONYを選んだ。それだけSONYのデザインは魅力的だった。 だけど、今は欲しいSONY製品は無い。なぜなら、今のSONYには以前のようなイノベーションも無ければデザインも無い。だから、欲しいモノが無い。 SONYは完全に舵取りを間違えたのだと思う。景気停滞にリンクした業績の悪化をなんとかしようと、本来孤高の存在である事がアイデンティティーであったはずのSONYが他社と足並みを揃えてしまった。 そもそも他の家電メーカーと比べ後発になるSONYは、イノベーションや魅力的なデザインで先発メーカーとの違いを明確に打ち出す事で、後発である事のデメリットを克服し差別化を図っていたのに、業績悪化に歯止めをかける対策として、他社と同様の安全路線を選んでしまった。体力の無いものが、体力のあるものと同じ道を歩んでも結果は見えている。 イノベーションとデザインのSONYが復活するのを心待ちにしたい。

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