top of page
  • 執筆者の写真S.Ninomiya

たかが物干し場 されど物干し場


住まいをプランニングする上で重要視される事の一つに、物干し場があります。それは、店舗やオフィスとの大きな違いだと思います。 人が毎日の生活を営む上で、必ず行う行為が洗濯。そして、洗濯に付き物なのが干す行為です。当然、何処にどのように干すのかは、プライオリティの高い課題になってきます。僕たちが設計する住まいも、以前はそれ以外の事をとりまとめるのに精一杯で、物干し場の事はないがしろになってしまった案件もありましたが、今はかなりプライオリティを上げて取り組むようにしています。 例えば、先日竣工した「浜寺公園の家」では、お施主さんのご要望もあったので物干し場を晴れの日と雨の日用に二箇所設けました。そして、内覧会でも皆さんがもっとも興味を持たれのが、この雨の日用の物干し場でした。それは、物干し場にしては、凝った意匠のように感じられたからだと思います。 そこで、この場を借りて少し解説。 2階に設けられたこの物干し場、広さは4.5帖ほど、決して広くは有りません。天井は採光を確保する為に既製品のトップライトで可能な最大寸法のものを4台設置。物干し場に必要なのは採光だけでは有りません、通風も必要。なのでトップライト4台の内1枚は開閉式にしています。写真正面の四角い窓は階段室に設けられていて、1階と2階に風の通り道を作っています。勿論、対角線に開口部を水平方向の通風も確保。 壁の仕上げは、用途的に直射日光が入る為、熱によって剥がれてしまい易いクロスなどは避け、多少色の変化があっても味として楽しめるようシナ合板貼としています。天井も同様。最後に照明計画。天井は前述のようにトップライトで埋め尽くされている。壁からスポットというのも芸が無い。そこで唯一残ったのが天井の十字型の梁の部分、そこに目を付けました。でも、この部分に普通にダウンライトを埋め込んでも面白くないので、十字型に発光する照明器具にする事で、重苦しくなりがちな梁の存在に軽やかな印象を与えつつ、照明器具としても機能するという解決方法をとりました。 その結果、皆さんに「これが物干し場?」と言われるような「物干し場」が出来上がったわけです。「物干し場」も、ちゃんと考えれば立派な建築になります。 話は変わりますが、もうすぐ竣工する「中百舌鳥の家」の物干し場もちょっとした工夫をしています。洗濯機置き場やキッチンから近い位置にレイアウトして家事導線を機能的にすると同時に、干していてもパブリックな部分からは見えないような工夫。でも、採光や通風はちゃんと確保されていて、雨の日でも干せるような物干し場。

閲覧数:72回

最新記事

すべて表示
bottom of page