• S.Ninomiya

「モノつくり」と「モノうり」


濱さんと話をしていると、度々「モノつくり」と「モノうり」の話になる。濱さんというのは最近ウチの案件を良く施工して頂いている工務店、株式会社Arcc(アーク)の社長さん。社長さんといっても一人親方なので、社員はいないのですが...。 濱さん曰く「メーカーの人間はモノをお金と引き換えに渡すだけで仕事終わりやと思とる、だから嫌いやネン」と。この日も某建材メーカーの対応が悪く、またこの話になった。「モノうり」には扱っている「モノ」に対しての情熱が無く、情熱が無いから「お金と引き換えに渡して終わり」となる。対して「モノつくり」は情熱をもって「モノ」を「つくって」いるから、そのつくった「モノ」の成り行きまで視野に入っていている。だから納品後に受け渡された人が困るような事にはならないのだという。 メーカーも色んな立ち位置の人がいて、「モノうり」というよりは「モノつくり」側にいる人もおられるので、全部が全部とは思わないけど、まぁ、濱さんのいう事も分かるし同意できる部分も多いにある。 例えば以前、自動車を購入しようとした時にこんな体験をした。 僕が最初に目をつけていた自動車はA社のもの。ディーラーの方は、非常に熱心にその自動車の素晴らしさをアピール。なるほどと納得しながら物凄く気に入ってしまい、購入を前提に結構詰めた話までしていたのだけど、高い買い物だし、なんとなく購入に踏み切る決めてもなかったのでその時は見送った。 だけど、半年後に購入しなければならない状況になった。ところがその時、B社の自動車がフルモデルチェンジし、以前気になっていたA社の自動車より魅力的だったので、念の為まずはB社に足を運んだ。 すると、現れたのはなんとA社にいたはずの担当さん。ビックリしていると、ニコニコしながらA社は事情があって退社し、今はB社に勤めているんあだそうで。A社の自動車も良いけど、B社のも良いですよ...と薦めてくる。人には色んな事情があるから、そんなに不可解な話で無い事は理解できるのだけど、あんなに熱心にA社の自動車を薦めていた人が、こんなにもアッサリとB社の自動車を薦めてくる事に正直ショックを受けた。 結局、この人にとって自動車は「商材」でしかなく、「売り物」でしかないのだと思った。つまり「モノうり」。 僕は建築を「商材」とは思っていない。つまり、報酬さえ払ってくれればどんな建築でも設計するわけではない。いや、正直にいうと、ちゃんと報酬を払ってくれるのであれば、どんな建築でも設計するのだけど、譲れない部分というのがあって、それが「モノつくり」としてのスタンスをちゃんと理解してくれているかどうか?という事になる。つけ加えると、この部分を無意識であれ理解出来ていない方からのお仕事は、結局ボツになってしまう。 「モノうり」ではなく「モノつくり」でありたいと思う。

#現場 #文化

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