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執筆者の写真S.Ninomiya

建築コストの話 その4


建築家に設計依頼をする時、気になる事の一つに「事前に建築コストがいくらになるか分かりにくい」という事があります。このあたりの事については「建築コストの話 その1」で詳しく書かせて頂きました。

では、それでも事前に建築コストを把握する方法はないのでしょうか?...実は有ります。それは、実際よりも建築コストを高めに設定する事。実は、大手ハウスメーカーや、設計施工をしている工務店、施工会社が決まっている建築家紹介のプロデュース会社などは、ほとんどがこの方法をとっています。

「建築コストの話 その1」でも書いたように、建築コストはその時の社会情勢に大きく左右されます。しかも、建築という行為は設計段階から工事を経て完成するまで早くても1年、長い場合はもっと年月を必要とします。そのような性質のもののコストを事前に確定するのはかなり無理な話。

でも、これを確定したように見せたい...どうするか?コストの変動を見越して、多めの予算を確保し、これをコストとして計上、そうすると社会情勢の変動により実際の建築コストが上がってもある程度は吸収できて赤字にならずに済むし、もしも建築コストが横ばい、或いは下がった場合、その差額は利益増という事になります。そうでなくてもハウスメーカーの利益は4~5割程度なので、いかに利益率の高いビジネスかお分かり頂けるかと思います。 リスクヘッジと考えれば、当然といえば当然の事なのでありますが、果たしてこれは適正な建築コストだと言えるでしょうか?あまった予算を返してくれるなら良いのですが、それは絶対に有りません。 つまり、建築コストを事前に確定するのは、適正なコストよりも大目にお金を支払うという事になります。適正な建築コストにするには、工事直前に見積もりを行うのがベスト。更に、競争原理が働くよう、できれば競争入札を行う事が理想的だと考えています。 確かに、事前に建築コストが把握できないのは困ったものなのですが、建築コストを事前に確定させてしまうよりは確実に建築コストを低く抑える事ができるし、時勢にあった適正な建築コストを導き出す最善の進め方なのではないでしょうか?

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