デザインという言葉は良く耳にする言葉ですが、どうも一般的には狭義の意味でしか捉えられていないような気がします。そして、狭義のまま一人歩きしている言葉だとも思います。 たまに、建売住宅をされている不動産屋さん的な方から「建物の表面だけをチャチャっとデザインしてよ」みたいな依頼がありますが、そんな時、デザインという言葉の独り歩き具合を痛感します。
辞書によるとデザインとは「ある対象について、良い構成を工夫すること。意匠(いしょう)」とあります。
住宅の設計においてデザインというと、外観の形態を考えたり、使う材料や仕上げの模様などを考えたり、とかく表面的な操作を行う事がデザインと捉えられがちですが、それは間違いです。
勿論、前述のような行為もデザインの一環では有りますが、それはデザインのほんの一部。平面計画をする事もデザインだし、断面構成を考える事もデザイン。良好な採光や通風を確保するのもデザイン。ディテールや施工方法を検討するのもデザイン。限られた予算の中でクオリティーの高い空間をつくるようコストコントロールするのもデザイン。空気感を作り出すのもデザインです。 ランドスケープデザイナーのカール・スタイニッツという人が「デザインとは、現状を少しでも望ましいものに変えようとするための一連の行為」と説明したそうです。的確な表現だと思います。