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執筆者の写真S.Ninomiya

建築家=芸人説


随分昔の事ですが、「建築家は『男芸者』みたいなもんや」という事を聞いた事がありました。その時はなんとなく、確かに営業職的な側面もあるし、それを揶揄して「男芸者」という表現を使っているのだろうと思っていました。 建築家の仕事の根幹にあるのは、「人を喜ばせる事」だと思うのです。「喜ばせる」というのは、もちろん「笑わせる」という狭義の意味ではなく、広義の意味での「喜ばせる」の意。 純粋に新しい家を建てるのは喜ばしい事ですし、その家が以前の住まいよりも住みやすかったり、機能的だったり、空間的に美しかったり格好良かったりするのは嬉しいことだと思います。そして、そういう仕事が提供できるのが建築家の「芸」なのだと思います。「芸」というのはお笑いだけでなく、歌もあればマジックもある。そのように様々に手法は違いますが、人々を「喜ばす」職業の人達の総称が「芸人」です。 つまり、建築家は「建築」という手法で人を喜ばす「芸人」。 確かに、僕たちの設計した建築でお施主さんが喜んでおられる姿を見るのは、とても嬉しい事だしやり甲斐も感じます。自分たちの「芸」で人が喜んでくれるのが好きなんだと思います。

「男芸者」というのは、たぶんそんな意味を込めての言葉なのでしょうね。そういえば、作風が変わった建築家に対して「あの人、最近『芸風』変わったね」なんていういい方もしたりします。

逆に言うと、「芸」の無い建築家は建築家にあらず...という事になります。ムム...これは大変。今後ますます「芸」に磨きをかけなければいけないと思うのでありました。

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