先日の北陸出張の際、金沢にある「鈴木大拙館」を訪れました。たまたまこの日は夜間開館日、幸運な事にライトアップされた建築を視察することができました。
鈴木大拙は「禅」の思想を世界に広めた、金沢出身の仏教学者です。
設計は金沢をルーツに持つ谷口吉生、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の設計などで有名な建築家です。
ライトアップされた建築は、日中のそれとはまた違った表情をみせてくれます。
この建築のライティングを見ていて気付いたのは、水盤に一切の照明が施されていない事。
水盤やプールのある建築の場合、水中照明などを用いたライティングが多いのだけど、この「鈴木大拙館」は一切その手法は用いていません。
水盤へ映り込む建築や木々といった設計意図が、日中だけでなく夜間にも引き継がれているのでしょう。
照明は「面」「線」「点」を主体とした手法でデザインされていました。
建築に当てられた照明は限定的なものですが、それとは対照的に周辺の木々には過剰なほど照明が当てられています。これは、光でてらされて明るくなった木々が、暗い水面に映り込む事を狙っているのでしょう。素晴らしい照明計画です。